目次 [非表示]
- 「スケール」の概要
- どんな音をどんな間隔で選ぶか
- スケールはなんらかの雰囲気を感じさせるもの
- スケールは「並び方」
- ここまでのまとめ
- いろいろなスケール
- 1. メジャースケール(アイオニアンスケール)
- 2. ナチュラルマイナースケール(エオリアンスケール)
- 3. ハーモニックマイナースケール
- 4. メロディックマイナースケール
- 5. ドリアンスケール
- 6. フリジアンスケール
- 7. リディアンスケール
- 8. ミクソリディアンスケール
- 9. ロクリアンスケール
- 10. メジャーペンタトニックスケール
- 11. マイナーペンタトニックスケール
- 12. ディミニッシュスケール
- 13. コンビネーションオブディミニッシュスケール
- 14. ホールトーンスケール
- 15. クロマチックスケール
- その他のスケール
- まとめ
「スケール」の概要
スケール(scale)とは、簡単にいえば「音の並び方」を指す言葉で、日本語では「音階」などとも訳されます。
どんな音をどんな間隔で選ぶか
ピアノの鍵盤(以下図)を見るとわかるとおり、そもそも音には「白鍵:7個」+「黒鍵:5個」=12個の種類しか存在していません。
上記図にあるように、それぞれの音は実際のところ等間隔で並んでいるような状態となっており、これは「1オクターブが12等分されている」とも解釈できます。
このページでテーマとしている「スケール」は、正確には
「このわずか12音のうちからどんな音を選ぶか」を定義するもの
だといえます。
「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ」の仕組み=メジャースケール
それを理解するためには、既に図として示した「ピアノの白鍵」に相当する「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ」をイメージするのが一番です。
上記は、既にご紹介した鍵盤の図に、「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ」の音階を書き込んだものです。
これを見ると、私たちが子供の頃から何気なく親しんできたこの音の集合体が、12等分された1オクターブの中でこのような順番(配置)によって並んでいるものだということがわかります。
この音の並び方は、スケールの種類のひとつである「メジャースケール」に相当するもので、数多くあるスケールのうちでも特に代表的なものとして扱われています。
メジャースケールの内容とその覚え方、割り出し方、なぜ必要なのか?について
スケールはなんらかの雰囲気を感じさせるもの
では、なぜ「スケール=音を選ぶ・並べる」という観点が必要になるかといえば、その理由は簡単にいえば「音の集合体からなんらかの雰囲気を感じられるようにするため」です。
上記の例では、全12音のうち「メジャースケール」という概念によって音を選ぶことで、そこから
- まとまりのある雰囲気
- メジャースケールならではの整った雰囲気
が感じられるようになります。
もともと、単に等間隔で並んでいるだけの12音をただやみくもに鳴らすと、そこからはめちゃくちゃな雰囲気が生まれてしまいます。これは、ピアノの鍵盤を適当に弾くとめちゃくちゃな音楽になってしまうことからもわかります。
等間隔で並んでいるだけの音からなんらかのまとまりを感じられるようにするために、この「スケール」の概念によって音が厳選され活用される、ということです。
スケールは「並び方」
スケールを理解するうえで忘れてはいけないのが、それがあくまで「並び方」を指す、ということです。
これをわかりやすくするために、以下に「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ」の起点(中心音)である「ド」の音を「一番目:I」として、それ以降の音の並び方をローマ数字によって表した図を示します。
「スケール」という言葉の意味するところはここにあり、それは「枠組み・尺度」のようなものとして働きます。
つまり、上記の例でいえば「メジャースケール」は
「『ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ』の雰囲気が感じられる音の並び方」
でしかないため、同じことを例えば「ファ」を起点として行うことができてしまうのです。
以下はそれを図にしたものです。
これを見てわかるように、「ファ」を起点として音をメジャースケール(=「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ」の雰囲気が感じれらる枠組み)に当てはめると、そのメンバーは
ファ・ソ・ラ・ラ#・ド・レ・ミ
となります。
メジャースケールの枠は変わらないため、起点が変わることで音のメンバーが変わり、必然的に何らかの音に「シャープ」などの調号が付くことになります。
本来、「ファ」を起点としたメジャースケールでは、シャープの付いた「ラ#」を「シ♭」と表現するのが一般的です。このようにいくつかの場合には付けられた調号を「♭(フラット)」で書き表します。
これによって
「ファ」から始めた「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ」の雰囲気
が感じられるようになります。
これを「Fメジャースケール」と呼びます。
これが「スケール」の意味と使われ方で、このようにスケールは通常さまざまな音を起点(中心音)として、その並び方に沿って音を選び、さまざまな音によってそれを表現するものです。
「枠」や「尺度」のような意味合いを持つ言葉
英語の「scale」という言葉には
- 物差し
- 規模や大きさ
などの意味もあり、それらが「枠」や「尺度」のようなニュアンスを持っていることを考えると、音楽における「スケール」が「並び方=枠組み」を意味することがなんとなく理解できるはずです。
ここまでのまとめ
以下はここまでのまとめです。
- 「スケール」とは「音の並び方=全12音のうちからどんな音を選ぶか」を意味する言葉
- 「スケール」の概念によって、音の集合体からなんらかのまとまりが感じられる
- 音楽をまとまりのあるものにするため、この「スケール」の概念が活用される
いろいろなスケール
ここまでを通して音楽における「スケール」という言葉の意味が理解できたはずですが、実際のところスケールにはさまざまな種類があります。
これは、言い方を変えれば
「12音のうちから、さまざまな音の選び方ができる」
ということで、「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ」のようにそれぞれのスケールには独特な響きがあり、さまざまな効果を狙ってそれらが音楽で活用されています。
基本的な概念は「メジャースケール」と同じで、それらはあくまで「並び方」であるため、起点(中心音)を変え、本来いろいろな音によって表現されるものです。
ここでは、その中でも特に代表的なものをいくつかご紹介します。
※例として、すべてのスケールにおいて起点を「ド」にしています。これらは本来「C〇〇スケール(「Cメジャースケール」など)」と呼ばれるものです。
※起点(中心音)を赤丸で示しています。
1. メジャースケール(アイオニアンスケール)
前述したとおり、「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ」の並び方に相当するものです。
既に述べた通り、数あるスケールのうちで最も有名かつ重要な存在で、多くの人が認識する「キー(メジャーキー・長調)」の概念はこの「メジャースケール」によって成り立つものです。キー(音楽)について|キー=「中心音」と「まとまりのある音のグループ」を意味する言葉
2. ナチュラルマイナースケール(エオリアンスケール)
メジャースケールのうち、「第3音」「第6音」「第7音」を半音下げたものです。
また、これはメジャースケールの「第6音」を起点として「6,7,1,2,3,4,5」と並べたものと同じ構造になっています。
メジャースケールと同じく、「マイナーキー(短調)」の概念は、このスケールによって成り立つものです。マイナースケールの解説(ハーモニックマイナー・メロディックマイナーを含む三種について)
3. ハーモニックマイナースケール
ナチュラルマイナースケールの「第7音」を半音上げて、和声的な不自然さを矯正したスケールです。
詳しくは、上記でご紹介している「マイナースケール」に関するページで解説しています。
4. メロディックマイナースケール
ハーモニックマイナーの「第6音」を半音上げて、旋律的な不自然さを矯正したスケールです。
「メジャースケールの『第3音』のみを半音下げたスケール」、とも解釈できます。
5. ドリアンスケール
メジャースケールの「第2音」を起点として「2,3,4,5,6,7,1」のような並べ方をしたのがこのスケールです。
つまり、メジャースケールが「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ」の雰囲気が感じられる並び方だったのに対し、このドリアンスケールは「レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ド」の雰囲気が感じられる並び方だということです。
「メジャースケールの『第3音』と『第7音』を半音下げたスケール」、とも解釈できます。
6. フリジアンスケール
ドリアンスケールと同じような調子で、メジャースケールの「第3音」を起点として並べたものです。
こちらは「ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ド・レ」の雰囲気が感じられる並び方、ともいえます。
7. リディアンスケール
こちらも同じくメジャースケールの「第4音」を起点として並べたものです。
前述の二例と似たような形で、こちらは「ファ・ソ・ラ・シ・ド・レ・ミ」の雰囲気が感じられる並び方です。
「メジャースケールの『第4音』のみを半音上げたスケール」、とも解釈できます。
8. ミクソリディアンスケール
メジャースケールの「第5音」を起点として並べたものです。
こちらは「ソ・ラ・シ・ド・レ・ミ・ファ」の雰囲気を感じる並び方です。
「メジャースケールの『第7音』のみを半音下げたスケール」、とも解釈できます。
9. ロクリアンスケール
メジャースケールの「第7音」を起点として並べたものです。
こちらは「シ・ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ」の雰囲気が感じられる並び方です。
10. メジャーペンタトニックスケール
メジャースケールのうち「第4音」と「第7音」を省いたものです。
これまでにご紹介したものとは違い、このスケールは全5音から成り立ちます。
このように、本来スケールによってそこに含まれる音の数は変わります。
11. マイナーペンタトニックスケール
ナチュラルマイナースケールのうち「第2音」と「第6音」を省いたものです。
こちらも全5音によって成り立つスケールです。
12. ディミニッシュスケール
起点となる音から「全音」→「半音」という規則に沿って音を並べたスケールです。
このスケールは全8音によって成り立ちます。
13. コンビネーションオブディミニッシュスケール
こちらは上記「ディミニッシュスケール」と似たような形で、起点となる音から「半音」→「全音」という規則に沿って音を並べたスケールです。
長いスケール名を略して「コンディミ」などと呼ばれることもあり、こちらも全8音によって成り立ちます。
14. ホールトーンスケール
起点となる音からすべて「全音」の間隔で音を並べたものです。
このスケールは全6音によって成り立っています。
15. クロマチックスケール
もはやスケールとは呼びづらいですが、このように「1オクターブ12音すべてを選ぶスケール」というものも存在しています。
その他のスケール
これ以外にも、民族系のスケールを含めると世界にはさまざまなスケールが存在しています。
以下のページでは、それらについても詳しく紹介されています。
まとめ
ここまでスケールの意味と、代表的なスケールの種類についてご紹介してきましたが、
「全12音からの音の選び方」
という観点だけでも、本当にさまざまなスケールが存在することがわかります。
これらを意図的にメロディラインやコードに活用し、そこからさまざまな曲調や演奏のスタイルを生み出すこともできるはずです。
是非楽器を弾きながら、各種スケールの響きを体感してみて下さい。
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